2021/08/19 12:38

少女はひとり今日も待つ。
幻想のような、夢のような、約束のために。
幼い頃、母に手を引かれたこの道で。
確かに聞いた。
ジャカランダの木に
いつか花が咲き誇るとき、
あなたに再び会えるでしょうと。
うす紫色の淡い煙が立ち込める中で。
確かに見た。
蝶のように
とても小さな小さな人影を。
少女はひとり今日も待つ。
亡き母との想い出を胸に。